特集

主張

正規が当たり前の社会に

 名古屋市にはいま約4600人の非正規労働者が働いています。増え続ける非正規労働者。学校職場の任期付き用務員を取材しました。

 ぼくはN小学校で働いています。任期付き1年契約3年雇用です。賃金は1か月総額で20万9千円。手取りは18万円ほどです。ベテランでも若手でもこの賃金は変わりません。
 最初は納得して入ったから別にいいやって思ってたんですよ。任期付きのことも、賃金のことも。でも松山市で開催された非正規労働者の集会に参加して考えが変わりました。学校には子どもがいて、用務員の仕事は絶対ある。なのにその仕事をやる人はリサイクルでかえていく。やっぱりおかしいんじゃないかって。

 松山の集会では、都留民子先生(広島大学)のお話を聞きました。ヨーロッパでは失業をする権利があったり、福祉が充実していたり、仕事がなくても焦っていないと。日本とだいぶシステムが違うんだなと驚きました。
 マツダを派遣切りにあった人の話も聞きました。派遣切りはテレビの中の話で自分には関係ないと思っていたけど、自分もよく考えたら任期付きであと2年で切られるし、他人事ではないんだなと実感しました。

この仕事を続けたい

 用務員の仕事は楽しいです。本当にいろんな仕事があるんですよ。草木を刈ったり、ドアを直したり、体育館の屋根にのぼったり。ぼく、最初は子どもが苦手だったんですけど、物を直したりすると感謝されるんです。だんだん慕ってくれるようになって子どもも勘違いして先生、先生って呼ぶんですよね。いまでは部活でサッカーも教えてるんですよ。外部指導員としてだけど。
 一生この仕事をやりたい。自分にはこれだって思っています。でもチャンスがない。どれだけ技術アップしても、途中で任期切れ。試験をまた受けるしかありません。学校からどんどん正規職員がいなくなって、アルバイトの世界になって、どんどん質がさがっていくんじゃないか、発展はないし、子どもをあずかる大事な仕事がそれでいいのかと不安です。
 「公務員の賃金が高い」という人がいるけど、市長とか、政治家とか、人気取りのためじゃないかって思うんですよ。だって景気が良かった時は公務員のなり手がいなかったんでしょ。景気が悪いから下げるなんて、わがままじゃないですか。削減してもツケがまわってくるだけ。雇用も賃金ももっと増やしてその効果をあげる方法を考えたほうがいい。公務員の賃金を下げる必要なんてないですよ。実際ぼくの賃金では1人暮らしできないし、結婚だって無理ですよ。
 腰掛けで、どうせ資格とってやめるんだって思っていましたけど、この仕事を続けるにはどうしたらいいのか、なんか行動しなきゃいけないのかなって最近思うようになりました。1人じゃ何ができるかわからないけど。労働組合はすげーなと思います。

先輩からのメッセージ

 1人前になれる賃金水準があってこそ仕事も覚え、頑張れるもの。食いつなぐだけのための職なんてとんでもない。労働運動の頑張りどきだと嘱託職員は語りました。

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